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基礎知識

クラウドとは~今さら聞けない基本を徹底解説~

2022年6月29日
クラウドとは~今さら聞けない基本を徹底解説~

近年、さまざまな場面で「クラウド」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、クラウドとは具体的にどのようなものなのか、理解が曖昧なままの方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、クラウドとは何かを、その定義から詳しく解説します。

そもそも「クラウド」とは何か

クラウドコンピューティング(略してクラウド)とは、ユーザーがインターネットなどのネットワーク越しに、サーバー・ストレージなどのITリソースや、アプリケーションソフトウェアなどを利用できるサービス形態のことです。

何らかのソフトウェアを利用する場合、従来であれば手元のPCやサーバーにインストールして利用するのが一般的でした。実際にWord・ExcelなどのMicrosoft Office製品やメールソフト、ウイルス対策ソフトなどを、手元のPCにインストールして利用したことがある方は多いのではないでしょうか。また、サーバーを運用する場合についても、これまではサーバー本体やストレージなどのハードウェアを購入し、自社のサーバールームやデータセンター内に設置してユーザー自身が運用管理を行う、「オンプレミス」という利用形態が一般的でした。

それに対してクラウドは、ソフトウェアを動作させるITリソースやサービスはすべてクラウドベンダーが所有しており、ユーザーはそれらをインターネット越しに「借りて」利用します。ユーザーは、インターネットを通じて「自社で所有していない」「どこかにある」サーバーにインストールされたソフトウェアを利用するため、従来のようにPCへソフトウェアをインストールしたり、ハードウェアを購入したりする必要はありません。インターネットアクセスに必要な端末さえ用意すれば、いつでもどこでも、必要な時に必要な分だけ、オンデマンドでサービスを利用できるのです。

ちなみに、こうしたサービスの利用形態を「クラウド(雲)」と呼ぶようになった理由としては、ユーザーから把握しにくいネットワークの先にあるサーバーなどの実態を表す際に、雲の図を使ったからという説が有力です(諸説あります)。

クラウドの定義と特徴

クラウドについては、NIST(米国国立標準技術研究所)によって以下のように定義されています。

"クラウドコンピューティングは、共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービスプロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供されるものである。このクラウドモデルは5つの基本的な特徴と3つのサービスモデル、および4つの実装モデルによって構成される。"

-出典: NIST によるクラウドコンピューティングの定義(IPA 情報処理推進機構による抄訳)

ここで述べられている5つの特徴、3つのサービスモデル、4つの実装モデルについて、以下で解説します。

5つの基本的な特徴とは

NISTでは「オンデマンド・セルフサービス」「幅広いネットワークアクセス」「リソースの共用」「スピーディな拡張性」「サービスが計測可能であること」の5つを、クラウドの基本的な特徴として挙げています。そしてクラウドを名乗るのであれば、これらの特徴のいずれかではなく、すべてが備わっていなければならないともしています。

これらクラウドの5つの特徴は、レンタルサーバーなどのクラウドと類似したサービスでは実現していない部分が多く、クラウドを利用する上での重要なメリットと言えます。それぞれの特徴の概要について、簡単に説明します。

オンデマンド・セルフサービス(On-demand self-service)

「オンデマンド・セルフサービス」とは、ユーザーがサービス提供者を介さず、主にインターネット経由でWebの管理画面などを操作し、必要に応じてサーバーやネットワークなどのリソースの調達や設定を自動で行えることを意味します。例えばサーバーの台数を増やしたい場合、レンタルサーバーであれば、追加サーバーの申し込み手続きが必要になります。しかし、クラウドであれば、ユーザーが許可された範囲内で自由に台数を増減させることができます。

幅広いネットワークアクセス(Broad network access)

「幅広いネットワークアクセス」とは、ネットワーク(主にインターネット)を通じてサービスが利用可能であり、さまざまなクライアント(PCやスマートフォン、タブレット等)から利用できることを指します。

リソースの共用(Resource pooling)

「リソースの共用」とは、サービス提供者が所有するデータセンターのリソース(サーバー等)を仮想化し、複数のユーザーが共有する形で提供することを指します。これによってリソースの利用効率の最適化が可能となるため、結果としてユーザーはより安価にサービスを利用できます。

スピーディな拡張性(Rapid elasticity)

「スピーディな拡張性」とは、CPUやメモリといったスペックの変更や、サーバーの台数そのものの増減など、ユーザーの必要に応じて拡張・縮退(スケールアップ/スケールアウト)を自由に行えることを指します。例えばサービスにアクセスが集中した際には、迅速にスケールアウトすることでサービスダウンを防いで機会損失を回避し、また負荷が下った際にはスケールインすることで、無駄なコストを抑えるといったことが可能になります。

サービスが計測可能であること(Measured Service)

「サービスが計測可能であること」とは、文字通りサービスの稼働状況が常に計測されていることを指します。これによってクラウドの利用料は、CPUやメモリ、ネットワークなどを、使った分だけ支払えばよいという従量性の課金が可能になっています。

クラウドのサービスモデル

クラウドの5つの基本的な特徴に加えて、NISTはクラウドには3つのサービスモデルと4つの実装モデルがあると定義しています。ここで言う3つのサービスモデルとは、「IaaS(Infrastructure as a Service)」「PaaS(Platform as a Service)」「SaaS(Software as a Service)」という、クラウドの利用形態のことを指します。

「IaaS」とは、ネットワーク越しにサーバーなどのインフラそのものを提供するタイプのクラウドサービスです。サーバーのハードウェアやネットワークなど、基盤となるインフラそのものはクラウドベンダーが管理しているものの、ユーザーはその上で、OSを含む任意のソフトウェアを自由に動かすことができるのがIaaSの特徴です。

「PaaS」とは、アプリケーションの開発/実行環境をネットワーク越しに提供するタイプのクラウドサービスです。IaaSとは異なり、ユーザーはサーバー、ネットワーク、OSといったインフラを管理することはできず、自分が実装したアプリケーションのみを自由に設定できます。

「SaaS」とは、ネットワーク越しにアプリケーションの機能を提供するタイプのクラウドサービスです。SaaSでは、ユーザーはインフラからアプリケーションまで、提供されている機能そのものは一切管理することはできず、あくまでアプリケーションの機能を利用するだけとなります。

FJcloud-Vではこのうち、IaaSとPaaSに分類されるサービスを提供しています。IaaS、PaaS、SaaSの詳細については、IaaS、PaaS、SaaSの違いを整理して、クラウドサービスの特徴を知ろうもあわせて参照してください。

クラウドの実装モデル

最後に、クラウドの4つの実装モデルについて解説します。4つの実装モデルとは、「プライベートクラウド」「コミュニティクラウド」「パブリッククラウド」「ハイブリッドクラウド」という、クラウドサービスの提供形態のことです。4つと言いましたが、実際によく比較されるのは「プライベートクラウド」「パブリッククラウド」「ハイブリッドクラウド」の3つでしょう。

「プライベートクラウド」とは、特定のユーザー専用に構築されたクラウド環境のことを指します。プライベートクラウドは、さらに自社内にオンプレミスで構築する「オンプレミス型」と、クラウドベンダーが提供するパブリッククラウド環境を区切って占有する「ホスティング型」に分けられます。特にオンプレミス型はカスタマイズの自由度が非常に高いのが特徴ですが、後述するパブリッククラウドと比較すると、コストがかかる点がデメリットです。

「パブリッククラウド」とは、クラウドベンダーが用意したITリソースをインターネットを介して、世界中の不特定多数のユーザーが共有する形態のクラウド環境のことを指します。基盤となるITリソースを他のユーザーと共有するため、プライベートクラウドよりも低コストで運用可能な点がメリットですが、クラウドベンダーが提供する環境をそのまま利用する都合上、カスタマイズの自由度が低い点がデメリットです。

「ハイブリッドクラウド」とは、複数の異なる利用形態同士を組み合わせたクラウド環境のことを指します。ハイブリッドクラウドの具体的な例を挙げると、機密性の高いデータを扱う業務の基幹系システムはオンプレミス上に構築し、インターネット上に公開するWebサーバーなどの情報系システムはパブリッククラウドで構築し、これらを組み合わせて運用する、といったパターンがあります。

まとめ

本記事ではクラウドとは何かを、NISTの定義を用いながら解説しました。

単純に既存システムをオンプレミスからクラウドへと移行するだけでも、多くのメリットを享受できます。クラウドのメリットについては、「クラウドとオンプレミス-それぞれのメリット・デメリットを徹底比較!」の記事をご確認ください。また、ホワイトペーパー「仮想化からクラウドのメリットまでイチからわかるクラウド入門~基礎編~」「クラウド移行が最初の1歩!イチからわかるクラウド入門~DX活用編~」では、クラウドの導入を検討するうえで押さえておきたい基礎知識をわかりやすく解説しています。

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