用語集
オンプレミスとは
第三者であるクラウドベンダーが用意したITリソースを、必要な時に必要な分だけ借りて利用できるのが「クラウド」の特徴です。それに対して、サーバーなどのハードウェアを自社内やデータセンター内に設置し、ユーザー自身で管理運用する方式を「オンプレミス」と呼びます。従来はこうした「サーバーを自社運用する形態」に特別な名前は付いていませんでしたが、新しく登場したクラウドと区別するために「オンプレミス」という名前が付けられました。
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クラウド時代におけるオンプレミス運用のメリットとデメリット
クラウドとオンプレミスは、そのメリット/デメリットがおおむね表裏一体の関係になっています。クラウドのメリットといえば、主に
- サーバーの調達に時間がかからない=高速にサービスを立ち上げられる
- 利用量に応じて課金される=遊休時のコストを削減できる
- リソースをレンタルできる=資産管理が不要
- 柔軟にスケールできる=サービスの拡大/縮小が容易
などが挙げられますが、これらは物理的にハードウェアを用意しなければならないオンプレミスが不得意とする部分です。
対してオンプレミスには、ハードウェアや設置場所からユーザー自身で管理しなければならないという手間とコストこそかかるものの、自分たちの都合で自由に環境をカスタマイズできるというメリットがあります。クラウドではベンダーが提供していない機能は利用できず、ユーザーによるカスタマイズにも限界があるため、自社向けにカスタマイズされたサービスを動かすためにはオンプレミスが有効な選択肢となります。
とはいえオンプレミスには、運用の工数や物理機器を資産として所有するコストやリスクといった多くのデメリットが付随します。そこで、近年ではこれらの問題をクラウドで解決しようと多くの既存システムのクラウド移行が進んでいます。しかし、システムをクラウドに移行したくても「企業のセキュリティポリシー上、第三者のクラウドベンダーに機密データを預けられない」や「担当者の退職やドキュメントの未整備で再構築が難しい」などのケースがあります。より現実的な問題としては、システムのクラウドへの移行コストやクラウド向けに再開発するコストが支払えないケース、ほかのシステムとの依存関係により、オンプレミスのまま塩漬けにせざるを得ないケースもあります。
このようにシステムを取り巻く条件によっては、クラウド時代においても敢えてオンプレミスを選択するケースも依然として存在しています。
「2025年の崖問題」に対し、オンプレミス環境をどう扱うのか
2018年に、経産省から「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」というレポートが発表されました。このレポートでは、古くから運用されているシステムは部門ごとに分断化されていたり、過剰なカスタマイズにより複雑化、ブラックボックス化し、将来の成長や競争力強化を阻害する原因となっていることが指摘されています。このままでは2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じるという試算もあり、これを「2025年の崖問題」と呼んでいます。
この問題を克服し、また競争力を維持強化するため、「クラウド」や「AI」に代表される新たなデジタル技術を活用してビジネスモデルを創出する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を進めていくことが各企業には求められています。
このような背景からも、足枷となっているブラックボックス化したオンプレミス環境を今後もそのまま使い続けるわけにはいきません。システムのクラウド移行は必然的な流れですが、すべてのシステムをクラウド化するのは業務フローやセキュリティポリシー上の理由で困難なケースも多々あります。
こうした問題に対する現実的な解の1つが、オンプレミスとクラウドを組み合わせていいとこ取りをする「ハイブリッドクラウド」です。