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FJcloud実践

FJcloud‑V上でAcronis Cyber Protect Cloudのバックアップ速度を検証

公開日:2026 4
FJcloud‑V上でAcronis Cyber Protect Cloudのバックアップ速度を検証

はじめに

「Acronis Cyber Protect CloudでFJcloud‑V上のサーバーをバックアップする場合、バックアップにはどれくらい時間がかかるのか?」

これは、お客様から非常によくいただく質問のひとつです。
一方で、この問いに対して単純に回答することは難しいです。
バックアップ時間は、CPU、ディスク、ネットワークなど、環境要因によって大きく左右されるためです。

本記事では、
FJcloud‑V環境上で、fioによる高負荷状態を意図的に作ったうえで、Acronis Cyber Protect Cloudでバックアップを実行し、バックアップ時間がどの要素に影響されるのかを検証しました。

本記事の目的は、
「この構成なら何分」と断定することではなく、バックアップ時間を決めている「要因」を読み解くことです。

検証方法

標準構成を基準に、サーバータイプ、サーバー台数、バックアップ対象データ量、バックアップ先を 1項目ずつ変更してバックアップ速度を比較 します。
検証時は、バックアップ元サーバーでfioを実行し、バックアップ元のディスクに対して 高いI/O負荷がかかった状態 を作っています。
これは、バックアップ処理と競合する高負荷な書き込み処理を想定したものです。

測定方法

  • バックアップ時間は「ジョブ開始から完了まで」を計測
  • バックアップ速度はAcronis管理画面に表示されるバックアップ速度(MB/s)を採用

検証環境

項目 標準構成 検証で比較する構成
バックアップ製品 Acronis Cyber Protect Cloud 比較検証なし
バックアップ元サーバーのリージョン jp-west-2 比較検証なし
バックアップ元サーバーのOS Rocky Linux 比較検証なし
バックアップ元サーバーの サーバータイプ h2-medium8 h2-small8、h2-large8
バックアップ元サーバーの台数 1台 3台
バックアップ元サーバーの増設ディスク構成 高速フラッシュドライブ 比較検証なし
バックアップ対象データ OS、圧縮されないランダムデータを50GB ランダムデータ量を比較(0GB、100GB、150GB)
バックアップ先 Acronis クラウドストレージ NAS(標準、高速) 、増設ディスク(標準フラッシュ、高速フラッシュ)
Acronisバックアップ設定 計測時点の標準設定 比較検証なし

バックアップ経路

本検証では、バックアップ先ごとに以下のバックアップ経路を使用しました。

Acronis_backup_dest_diag.jpg

Acronisの主な設定値(検証時点のデフォルト値)

項目 設定値
暗号化 有効
LVMのスナップショット バックアップソフトウェアによって
セクタ単位のバックアップ いいえ
バックアップのベリファイ いいえ
パフォーマンスとバックアップウィンドウ いいえ
ファイルフィルタ(除外/包含) 設定なし
マルチボリューム スナップショット いいえ
圧縮レベル 通常

検証結果サマリ

ここでは、今回の検証から読み取れた主なポイントをサマリとして示します。
個別のグラフや詳細な考察については後続の章で説明します。

Acronis_backup_summary03.jpg

今回の検証結果では、以下の傾向が確認できました。

  • バックアップ元のディスクが高負荷のとき、バックアップ速度は下がる
  • 本検証時におけるvCPU数の違いによる影響は限定的
  • 並列数の増加による1サーバーあたりのバックアップ速度変化は限定的
  • バックアップ先の違いはバックアップ速度に影響する
  • バックアップ容量が小さい場合、オーバーヘッドの影響を受けやすい

以降では、各観点ごとに結果を読み解いていきます。


vCPU数の違いによる影響

ここでは、バックアップ元サーバーのvCPU数がバックアップ速度に与える影響を確認することを目的に検証しました。
検証にあたって、サーバータイプ(vCPU数)のみを変更し、その他の条件は標準構成としています。

Acronis_backup_vCPU03.jpg

h2-small8(1vCPU) / h2-medium8(2vCPU) / h2-large8(4vCPU) と vCPU数を変えて検証したところ、バックアップ速度は おおむね 9〜12MB/s 程度 で推移し、大きな差は見られませんでした。

この結果から、今回の高負荷条件下では、

  • バックアップ処理は CPU ではなく、ディスク I/O やネットワークといった 別のリソースに支配されている

ことがわかります。

「CPU を増やせば処理が速くなる」と考えがちですが、必ずしもそうではない点に注意が必要です。


並列数の違いによる影響

ここで扱う「並列数」は、その他の検証と異なり、単一サーバーのバックアップ速度を比較するものではなく、 複数サーバーを同時にバックアップした場合のシステム全体の挙動 を確認します。
そのため、本章の結果は、その他の検証で示す単一サーバーのバックアップ速度比較ではなく、バックアップ構成や運用設計を検討するための参考情報として扱います。

ここでは、バックアップを同時に実行するサーバー台数(並列数)がバックアップ速度に与える影響を確認することを目的に検証しました。
検証では、並列数のみを変更し、その他の条件は標準構成としています。
並列実行時、サーバー1台あたりのバックアップ速度(MB/s)に性能変化があるか確認しました。

Acronis_backup_parallel03.jpg

並列数を「1台」→「3台」と増やしても、1台あたりのバックアップ速度に変化は見られませんでした。

この結果から、

  • バックアップ対象サーバーを複数持つシステムでは、複数のサーバーを同時にバックアップすることでシステム全体の バックアップ時間の短縮を期待できる

ということがわかります。
ただし、並列数を増やしていくと バックアップ先やネットワーク帯域など別のボトルネックが発生する 可能性がある点には注意が必要です。


バックアップ先の違いによる影響

ここでは、バックアップ先の違いがバックアップ速度に与える影響を確認することを目的に検証しました。
検証では、バックアップ先のみを変更し、その他の条件は標準構成としています。

Acronis_backup_dest02.jpg

結果として、バックアップ先による差が確認できました。

特に、増設ディスクへのバックアップはネットワークを介さないため、高いスループットが確認できました。

この結果から、

  • 保存先とネットワーク回線が支配要因になる

ということがわかります。


バックアップ対象データ量の違いによる影響

ここでは、バックアップ対象データ量の違いがバックアップ速度に与える影響を確認することを目的に検証しました。
検証では、バックアップ対象データ量のみを変更し、その他の条件は標準構成としています。
バックアップ対象データから作成されたバックアップのサイズを以下に示します。

バックアップ対象データ バックアップサイズ
OSのみ 12.9GB
OS + ランダムデータ50GB 57.7GB
OS + ランダムデータ100GB 113GB
OS + ランダムデータ150GB 164GB

作成されたバックアップサイズごとのバックアップ速度を以下に示します。

Acronis_backup_size02.jpg

バックアップ対象データ量を段階的に増やして検証したところ、
容量が小さい場合ほど、スループットが低くなる傾向が見られました。

これはバックアップ処理の初期オーバーヘッドが、小容量の時、相対的に効いてしまうためと考えられます。


負荷の違いによる影響

ここでは、バックアップ元ディスクの負荷状態の違いがバックアップ速度に与える影響を確認することを目的に検証しました。
検証では、バックアップ先を増設ディスク(高速フラッシュ)に固定したうえで、fioによるディスク負荷レベルのみを段階的に変更し、その他の条件は標準構成としています。

検証時のディスク負荷は、fioの rate_iops パラメータを用いて調整しています。

各負荷レベル(50%、80%、99%)は、fioが発行するI/Oの上限IOPSを rate_iops で制御することで再現しております。
なお、0%はfioによる負荷を与えない状態、100%は rate_iops によるIOPS制限を設けない高負荷状態です。

Acronis_backup_load03.jpg

負荷なし状態で約340MB/sに対し、高負荷状態は約18MB/sと大きく下がりました。

この結果から、今回の高負荷条件下では、

  • 高負荷のとき、バックアップ速度が大きく下がる

ことがわかります。


まとめ

今回の検証から、
Acronis Cyber Protect CloudをFJcloud‑Vで利用した場合のバックアップ時間は、環境設計に大きく依存することがわかりました。

特に重要なのは以下のポイントです。

  • CPU増強は必ずしも効果的とは限らない
  • 並列数の調整は有効だが万能ではない
  • バックアップ先とネットワーク構成は重要要素
  • 小容量バックアップはオーバーヘッドの影響を受けやすい

バックアップ時間を短縮したい場合、まずは どこがボトルネックになっているのかを切り分ける ことが重要です。

本記事が、FJcloud‑V上でAcronis Cyber Protect Cloudを利用する際の参考になれば幸いです。

注意事項

  • 本記事の数値は、特定条件下での参考値であり、性能を保証するものではありません。
  • 本記事は掲載時点の情報になります。最新の情報は各サービスのサービスページ、技術仕様ページを参照してください。
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