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FJcloud実践

サーバーの「万が一」に備える、ワンデイスナップショットを活用する

公開日:2025 9
サーバーの「万が一」に備える、ワンデイスナップショットを活用する

システムを運用していると、OSのアップグレードやDBのマイグレーションなど、不可逆かつ失敗が許されない作業がどうしても発生します。特に、本番システムのメンテナンス時には、「もしも失敗したら」や「万が一、元に戻せなくなってしまったら」という不安を、誰もが感じているのではないでしょうか。

この記事では、そうした万が一に備える「ワンデイスナップショット」機能について詳しく解説します。この機能を活用することで、低コストかつ簡単に一時的な復元ポイントを作成でき、リスクのある作業も安心して進めることができます。

ワンデイスナップショットとは?

FJcloud-Vでは、ワンデイスナップショットという機能を提供しています。これは、その名前の通り「24時間限定」で利用できるスナップショット機能です。サーバーの状態を瞬時に保存し、必要に応じて復元を可能にする、一時的なデータ保護機能です。

ワンデイスナップショットとバックアップとの違い

サーバーの状態を保存するサービスというと、バックアップと同じではないかと思うかもしれません。ですが、ワンデイスナップショットは従来のバックアップサービスとは異なる位置づけとなっています。

ワンデイスナップショット最大の特徴は、その保存期間です。繰り返しになりますが、ワンデイスナップショットは名前通り、24時間しかデータを保持しません。作成から24時間が経過したスナップショットは、自動的に削除されます。また、24時間以内であっても、スナップショット作成時からの更新差分が20GBを越えた場合も、同様に削除されます。このことから解るように、ワンデイスナップショットは長期的なデータの保存を目的としたサービスではありません。ワンデイスナップショットは、一時的な「復元ポイント」的な使い方が主な用途となります。

そのため、ワンデイスナップショットはバックアップと比較して、気軽に使いやすサービスとなっています。申し込み手続きなどは不要で、すぐに利用を開始できます。また、スナップショットの作成や復元も、クリックひとつで可能となっています。利用料金も、バックアップが対象のストレージの容量ごとに月額課金されるのに対し、ワンデイスナップショットは取得した回数ごとの課金となっています。1回あたり143円(税込)と非常に安価で、この料金設定は、サーバーに増設ディスクが追加されていても変わりません。

ワンデイスナップショットと従来のバックアップの特徴を比較すると、以下のようになります。

項目 ワンデイスナップショット バックアップ
保存期間 最大24時間 任意の世代(設定による)
コスト 143円/回 容量ごとの月額料金制
主な利用目的 一時的な復元ポイント データの長期的な保護
主な利用タイミング メンテナンス作業前に随時 定期的に実行

なお、ワンデイスナップショットとバックアップは排他となっており、同一のサーバーで両サービスを併用することはできません。サーバーの用途や運用スタイルに応じて、どちらを利用するか検討してください。

ワンデイスナップショットのユースケース

ワンデイスナップショットは、主に以下のようなケースで威力を発揮します。

1. 不可逆的で、失敗した際のリカバリーが困難な作業前に

OSのアップデートのように、システム全体に影響が及び、かつ、失敗した場合に手動でのリカバリーが困難な作業は、ワンデイスナップショットが最も輝くケースでしょう。他にも、アプリケーションのバージョンアップ、データベースのマイグレーション、ミドルウェアの設定変更など、システムに手を入れる前には、ワンデイスナップショットで「保険」をかけておくことを推奨します。

2. 一時的な設定変更のリスクヘッジに

1と似ていますが、ネットワークやファイアウォールの設定変更のような作業も注意が必要です。特にネットワーク越しに作業するしかないクラウド環境では、うっかりファイアウォールのルールを間違えてしまったために、管理者がサーバーから締め出されてしまうといった事故もよくあります。こうしたケースでも、クラウド基盤レベルで設定を巻き戻すことができれば安心です。

3. 何度もパターンを変えて試行錯誤したい、開発・テスト環境での実験に

ワンデイスナップショットを利用すれば、簡単かつ確実に、システムを元の状態に復元できます。うまく活用することで、開発効率の向上にも寄与します。例えばパフォーマンステストを繰り返すような場合は、毎回実施する条件を揃えなければならないでしょう。手動で同一の環境を整えるのは大変な手間ですが、スナップショットを活用すれば、同一の環境を何度でも再現できます。これは、パラメータを変えて設定を試行錯誤するような場合にも有効です。

料金メリット

ワンデイスナップショットは1回あたり143円(税込)という低コストで利用できるため、気軽に利用できます。バックアップとのコストを比較してみましょう。

例えば30GBのローカルディスクと、100GBの増設ディスクを搭載したサーバーがあり、月1回メンテナンス作業があるとしましょう。メンテナンス前に保険として、バックアップを取得することを考えてみます。

  • ワンデイスナップショット: 143円 × 1回 = 143円/月
  • バックアップ: 385円/月(ローカルディスク30GBぶん) + 1,287円/月(増設ディスク100GBぶん) = 1,672円/月

このように、月あたり1,529円もの差が出ます。仮に1年間運用したとすると、その差額は18,348円にもなります。もちろん、バックアップは複数世代の長期保存ができるなど、別のメリットがあるため、価格差だけを見て優劣を判断することはできません。ですが、一時的なデータの保護のみが必要な用途では、ワンデイスナップショットを活用することで、大幅なコスト削減が期待できるでしょう。

ワンデイスナップショットの利用手順

それでは、具体的にワンデイスナップショットを利用する手順を解説します。前提として、FJcloud-V上で仮想サーバーが起動している状態とします。

作成手順

「コンピューティング」→「サーバー」を開き、対象のサーバーを選択します。この状態で「選択したサーバーの操作」から「スナップショットの作成」をクリックしてください。

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すると、スナップショットの作成画面が開きます。スナップショット名とメモ(任意)を記入したら、「作成する」にチェックを入れて、OKをクリックしてください。

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スナップショットの作成が完了すると、サーバーの「スナップショット」タブに情報が表示されます。

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リストア手順

「コンピューティング」→「サーバー」を開き、対象のサーバーを選択します。この状態で「選択したサーバーの操作」から「スナップショットのリストア」をクリックしてください。

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リストアの確認画面が表示されます。リストアしてよいのであれば、「リストアする」にチェックを入れた上でOKをクリックしてください。なお、スナップショットをリストアすると、スナップショット作成後に、サーバーに対して行われた変更はすべて失われてしまいます。本当にリストアしてよいか、十分に確認した上で実施してください。

005.png

これでリストアが行われます。

リストアが完了すると、スナップショットは削除されます。そのため、テスト目的で何度も同じポイントへ復元したいような場合は、あらためてスナップショットを作成し直してください。

削除手順

ワンデイスナップショットは24時間で自動的に削除される上、作成時以外に料金はかからないため、通常は手動で削除する必要はありません。ただし、スナップショットは1台のサーバーにつき同時に1つしか作成できないため、古いスナップショットが存在する状態で、新しくスナップショットを取り直したい場合は、先に古いスナップショットを削除してください。

「コンピューティング」→「サーバー」を開き、対象のサーバーを選択します。この状態で「選択したサーバーの操作」から「スナップショットの削除」をクリックしてください。

006.png

削除の確認画面が表示されます。スナップショットの削除は取り消せないため、本当に削除してよいか、十分に確認してください。削除してよければ「削除する」にチェックを入れて、OKをクリックしてください。

007.png

ワンデイスナップショットの注意点

ワンデイスナップショットは非常に便利な機能ですが、いくつかの制限や注意点もあります。

保持期間の制限

ワンデイスナップショットの最大保持期間は24時間です。24時間経過後には自動的に削除され、保持期間の延長はできません。

同時作成数の制限

ワンデイスナップショットはFJcloud-Vで提供されているすべてのOS、すべてのサーバーサイズに対応しており、対象システムに制限はありません。ですが1サーバーにつき1つまでという、同時作成数の制限があります。複数のスナップショットを取得し、復元ポイントを行ったり来たりするようなことはできません。

パフォーマンスへの影響

ワンデイスナップショットはサーバーが起動状態でも取得できます。ただし作成時にディスクI/Oが発生する可能性があり、これがサーバーのパフォーマンスに影響を与えることがあります。

バックアップとの併用不可

同一のサーバーに対して、ワンデイスナップショットとバックアップを併用することはできません。そのため、定期的にバックアップを取って長期保存しつつ、クリティカルな作業前にワンデイスナップショットも取る、といった運用はできないことに気をつけてください。

まとめ

ワンデイスナップショットは以下のような特徴を持っています。

  • 安心感: 作業前に復元ポイントを作成することで、失敗時の影響が大きい作業も安心して実施できる
  • コスト効率: ストレージの容量を問わず、143円という低コスト(価格は2025年9月時点のものとなります)で上記の安心感を確保できる
  • 簡単操作: 複雑な設定不要で、誰でも簡単に利用できる
  • 迅速な復旧: 問題発生時に素早く元の状態に復元できる

特に以下に該当する場合は、ワンデイスナップショットの導入を強く推奨します。

  • 定期的にシステムメンテナンスを実施している
  • 新しい設定やアプリケーションを試すことが多い
  • 低コストでリスクヘッジしたい
  • 復旧時間を最小限に抑えたい

ワンデイスナップショットは低コストで、簡単に「保険」をかけられるため、不可逆的な作業を行う前には、ぜひ利用を検討してみてください。ワンデイスナップショットを活用して、より安全で効率的なシステム運用を実現しましょう。

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