FJcloud実践
Acronis Cyber Protect Cloudを利用した複数NIC構成サーバーの移行検証
FJcloud-Vへの移行を検討する際の選択肢の一つに、Acronis Cyber Protect Cloud(以降 Acronis)を利用する方法があります。
しかし、移行元サーバーで複数のNICを利用している場合、移行後も正常に認識されるのか、問題なく移行できるのか、不安に感じることもあるのではないでしょうか。
この記事では、移行元サーバーで複数NICを利用している構成を対象に、Acronisを利用したFJcloud-Vへの移行可否を検証した結果をご紹介します。
前提条件
本記事は、以下の前提知識がある方を想定しています。
- FJcloud-V の基本的なコントロールパネル操作およびサービス仕様
- Acronis Cyber Protect Cloud(以降 Acronis)の基本的な操作・知識
Acronis や FJcloud-V の基本仕様、ライセンスに関する注意事項については Acronis Cyber Protect Cloudを利用してFJcloud-Vにサーバーを移行する part1 を参照してください。
検証概要
本検証では、移行元サーバーをAcronisでバックアップし、FJcloud-V上に作成したサーバーへリストアすることで移行可否を確認しています。
移行元サーバーをOpenStackベース基盤の環境で準備しています。
機能・サービス
検証で利用する機能・サービスを記載します。
- Acronis
FJcloud-Vで利用しているサーバーやお客様のオンプレミス環境にある物理・仮想サーバー、クライアントOSを含めたシステムやデータを、まるごとバックアップ・復元できるサービスです。
想定構成と課題
想定構成
移行元サーバーでは、異なるネットワークセグメントに接続された複数のNICを利用している構成を想定します。
- 内部ネットワーク1(10.0.1.0/24)
- 内部ネットワーク2(192.168.10.0/24)
課題点
複数NICを利用している環境では、移行後に以下の懸念があります。
- 移行元と移行先でNICの接続順序や識別情報が変化した場合でも正常に利用できるか
- ネットワーク設定が正しく引き継がれるか
- OS起動後に追加NICの設定を正しく行えるか
検証パターン
本検証では、Windows Server 2019およびRocky Linux 8.10の両OSで、同一のネットワーク構成による検証を実施しました。
| 項目 | 移行元 | 移行先 |
|---|---|---|
| NIC構成 | プライベートNIC ×2 |
プライベートNIC ×2 (サーバー作成後に追加NICを事前付与) |
| プライベートNIC① |
内部ネットワーク1(10.0.1.0/24) DHCP構成 |
プライベートLAN①:commonLAN(10.0.1.0/24) DHCP構成で起動 その後、OS上からIPアドレスを設定し、IPアドレスを固定化、移行元と同一のIPアドレスに設定 |
| プライベートNIC② |
内部ネットワーク2(192.168.10.0/24) DHCP構成 |
プライベートLAN②:pvlan2(192.168.10.0/24) DHCP構成 移行元と同一IPアドレスが払い出されるよう事前にDHCP設定を実施 |
①Windows Server 2019
②Rocky Linux 8.10
検証結果
検証結果は以下の通りです。
| 項目 | Windows Server 2019 | Rocky Linux 8.10 |
|---|---|---|
| OS起動 | Universal Restore実施後に正常起動 | 追加作業なく正常起動 |
| 追加NIC認識 | 正常に認識 | |
| プライベートLAN①:commonLAN (10.0.1.0/24) |
移行後は移行元と異なるIPアドレスが付与された その後、OS上からIPアドレスを設定し、IPアドレスを固定化、移行元と同一のIPアドレスに設定できることを確認 |
|
| プライベートLAN②:pvlan2 (192.168.10.0/24) |
移行元と同一のIPアドレスが正常に払い出されることを確認 | |
複数NICを利用している構成であっても、移行先で事前にNICを準備しておくことで、Acronisによる移行が可能であることを確認できました。
OS別:移行時の注意点
Windows Server 2019
本検証では、最初のリストア後にOSが正常に起動しませんでした。
そのため、AcronisのUniversal Restoreを実施し、正常に起動することを確認しました。
Universal Restoreの詳細はAcronis社のマニュアルを参照してください。
Rocky Linux 8.10
本検証では、サーバーに追加NICを付与した状態でリストアを実施しました。
また、Universal Restoreのような追加作業を実施することなく起動できました。
検証手順
移行元サーバーの準備
移行元サーバーでは、異なるセグメントへ接続するプライベートNICを2本利用する構成を準備します。
以下はそれぞれの移行元サーバーのネットワーク情報のキャプチャです。
Windows Server 2019
Rocky Linux 8.10
VMware tools/open-vm-tools のダウンロードとインストール
本検証では移行元サーバーをOpenStackベース基盤の環境で準備しています。
FJcloud-Vで稼働するサーバーは VMware Tools/open-vm-tools が必要なためインストールを実施します。
- Windows Server 2019の場合
- VMwareのVmware Toolsダウンロードサイト からVMware toolsをダウンロードして移行対象サーバー上に保存します。
- 本検証では検証時点の最新バージョン 12.4.5 を使用しています。
- VMware toolsはあらかじめインストールはせず、復元後にインストールします。
- VMwareのVmware Toolsダウンロードサイト からVMware toolsをダウンロードして移行対象サーバー上に保存します。
- Rocky Linux 8.10の場合
- open-vm-tools のインストール・アップグレード を参照してopen-vm-toolsをインストールします。
バックアップ取得
Acronisエージェントをインストールし、バックアップを取得します。インストール方法、バックアップ方法は以下を参照してください。
- Acronisのエージェントインストール方法:クラウドユーザーガイド(バックアップ/セキュリティサービス(Acronis Cyber Protect Cloud):スタートガイド)
- バックアップ方法:クラウドユーザーガイド(バックアップ/セキュリティサービス(Acronis Cyber Protect Cloud):バックアップ)
移行先サーバーの準備
FJcloud-V上に移行先サーバーを作成します。
この際、移行元と同様にプライベート側のNICを2つにするために、追加NICを事前に付与します。
各手順は以下を参照してください。
- サーバーの作成方法:クラウド操作方法ガイド(コンピューティング:サーバーの作成)
- 追加NICの作成方法:クラウド操作方法ガイド(コンピューティング:追加NIC:作成)
- 追加NICをサーバーに付与する方法:クラウド操作方法ガイド(コンピューティング:追加NIC:サーバーに設定・解除)
以下はそれぞれの移行先サーバーのコントロールパネルのキャプチャです。
Windows Server 2019
Rocky Linux 8.10
リストア実施
取得したバックアップからリストアを実施します。
Acronisでのリストア方法はクラウドユーザーガイド(バックアップ/セキュリティサービス(Acronis Cyber Protect Cloud):復元 ISOイメージ利用) を参照してください。
Windows Server 2019では、リストア後にOSが正常起動しなかったため、Universal Restoreを実施しました。
Rocky Linux 8.10では、そのまま正常に起動しました。
Windows Server 2019は、リストア実施後VMware Toolsのインストールを実施します。
動作確認
移行後、以下を確認します。
- 追加NICが認識されていること
- IPアドレス設定が想定通りであること
- プライベートLAN① commonLAN (10.0.1.0/24):DHCP
- リストア後、OS上からIPアドレスを設定し、IPアドレスを固定化、移行元と同一のIPアドレスに設定
- プライベートLAN② pvlan2 (192.168.10.0/24):DHCP
- リストア後、移行元と同一IPアドレスが払い出されていること
- プライベートLAN① commonLAN (10.0.1.0/24):DHCP
Windows Server 2019
- プライベートLAN①:commonLAN (10.0.1.0/24)では移行元と異なるIPアドレスが付与されていることを確認できます。
プライベートLAN②:pvlan2 (192.168.10.0/24)では移行元と同じIPアドレスが払い出されていることを確認できます。 - プライベートLAN① commonLAN (10.0.1.0/24)のNICにOS上からIPアドレスを設定し、IPアドレスを固定化、移行元と同一のIPアドレスに設定します。
- OSでもIPアドレスを確認します。
Rocky Linux 8.10
- プライベートLAN①:commonLAN (10.0.1.0/24)では移行元と異なるIPアドレスが付与されていることを確認できます。
プライベートLAN②:pvlan2 (192.168.10.0/24)では移行元と同じIPアドレスが払い出されていることを確認できます。 - プライベートLAN① commonLAN (10.0.1.0/24)のNICにOS上からIPアドレスを設定し、IPアドレスを固定化、移行元と同一のIPアドレスに設定します。
- OSでもIPアドレスを確認します。
まとめ
本検証では、移行元サーバーで複数NICを利用している構成においても、移行先で事前に追加NICを付与しておくことで、Acronisを利用したFJcloud-Vへの移行が可能であることを確認しました。
また、本検証では移行後のサーバーでDHCP構成および固定IP構成の双方で確認を実施し、追加NICを正常に認識できること、および想定したIPアドレス設定を行えることを確認しました。
そのため、複数NICを利用している環境においても、移行先で事前に追加NICを準備することで、Acronisを利用したFJcloud-Vへの移行が可能であることを確認できました。











