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基礎知識

基幹システム、情報システム、ERPとは? 業務システムを整理しよう

2020年06月24日

企業内では、ビジネスを動かすためのさまざまなシステムが稼動しています。本記事では、混同しやすい「業務システム」「基幹システム」「情報システム」「ERP」の違いを解説します。

業務システムとは

企業において、経営上必要不可欠なシステムを「基幹システム」(後述)と呼びます。これに対して、業務を円滑に遂行するために用意されるシステムを「情報システム」(後述)と呼びます。「業務システム」とは、これら2つをあわせたシステムの呼称です。ただし、昨今では情報システムのみを指して業務システムと呼ぶケースも多く、混同しやすいものです。

基幹システムとは

前述の通り、基幹システムとは企業の経営上必要不可欠なシステムのことです。企業内で稼動しているシステムは、「在庫管理システム」「収支管理システム」「給与管理システム」など多岐に渡ります。それら多くのシステムの中でも、特に「仮にそのシステムが停止すると企業活動そのものが停止してしまう」ようなものが基幹システムに該当します。

具体的に、どのようなシステムが基幹システムにあたるかは、その企業の形態によって異なります。つまり「基幹システム」と呼ばれる特定のソフトウェアやソフトウェアの種類(Webサーバー/データベースなど)が存在するわけではないという点に注意してください。

基幹システムとなる主なシステムの例として「在庫管理システム」「生産管理システム」「販売管理システム」「会計システム」「人事給与システム」などがあります。例えば製品を生産する製造業であれば、在庫管理システムや生産管理システムなどが基幹システムにあたるでしょう。

情報システム(業務システム)とは

業務上必須となる基幹システムに対し、「業務を円滑に遂行するためのシステム」のことを情報システムと呼びます。前述の通り、情報システムは業務システムと呼ばれることもあるため、文脈に応じて「基幹システムを含んだシステム全体」のことを指しているのか、単に情報システムの別名として使われているのか、判断する必要があります。

企業では業務効率を向上させるため、さまざまなシステムを導入して業務を支援しています。具体的には、グループウェアや社内SNSなどが該当します。例えばグループウェアを導入することで、勤怠管理や社内設備の予約といった、事務処理や管理業務の効率向上が期待できます。また、社内SNSがあれば、情報共有や従業員同士のコミュニケーションを円滑に行う助けとなるでしょう。しかし、これらのシステムは、基幹システムのように「企業の経営上、必要不可欠なシステム」というわけではありません。情報システムに分類されるのは、このようなシステムになります。

主な情報システムの例としては、前述のグループウェアや社内SNSの他に、メールソフト/ナレッジベース/スケジュール管理ツールなどがあります。

ERPとは

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の経営資源を有効に活用し、経営の効率化を目的とする手法および概念のことで、日本語では「企業資源計画」と呼ばれています。

もともと製造業において、資材や在庫を管理してキャッシュフローを最適化するMRP(Material Requirements Planning,資材所要量計画)という概念がありました。このMRPの概念を資材や在庫だけでなく、企業全体の経営資源にまで拡大したものがERPです。そして、概念としてのERPを実現するためのソフトウェアがITシステムとしてのERPです。現在、単にERPと言った場合は、企業の経営上必要不可欠な基幹システムとそれ以外の情報システムを統合したITソリューションのことを指すケースが多くなっています。ITソリューションとしてのERPは、日本語では統合基幹業務システムと呼ばれています。

ERPは基幹システムと業務システムが統合されたシステムであるため、連携問題や互換性の心配がなく、容易に統合環境を整えられるのがメリットです。ERPを自社の業務形態にあわせ、独自にスクラッチで開発することも可能ですが、これはコストが大きくなりがちなため、既成のERP製品を導入するケースが多くなっています。主なERP製品としては、「SAP Business All-in-one」「Oracle E-Business Suite」「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA」などが存在します。

加速するシステムのクラウド化

昨今ではデジタルトランスフォーメーションへの対応や働き方改革によるテレワークの推進といった理由で、社外から基幹システムを利用したいというニーズも高まっています。また、ERP製品を販売するベンダーも主力製品の軸足をクラウドに移しつつあります。こうした背景から、従来はオンプレミスで構築するのが一般的であったERPをクラウド上に構築するという企業も増加してきています。

詳細については、「"聖域"であった基幹システムもクラウド移行が選択肢の1つに」「テレワークとは? 導入時に考慮すべきポイントを確認しよう」の記事をご確認ください。

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