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技術解説

クラウドにテレワーク環境を構築するメリットとは

2020年7月9日

テレワーク自体は従来より、政府主導の働き方改革によって強く推進されていました。そんな背景の中、世界的な流行を見せている新型コロナウイルスによる感染症の影響により、テレワークの実施が一気に後押しされた形となりました。

しかし、主にITリソースへの投資不足から、不完全な形でテレワークに踏み切って苦労した企業やそもそもテレワークを実施できなかった企業も多く存在します。

直近の課題であるテレワーク環境の改善だけに留まらず、「アフターコロナ」時代の新しい生活様式に見合ったITインフラを構築するためには、クラウドを積極的に活用するのがお勧めです。

テレワーク環境の課題とは

新型コロナウイルスによる感染症の拡大によって、急遽テレワークの実施が必要となりました。しかし、実際にテレワークを行ってみると、さまざまな想定外の課題が浮き彫りになってきました。

具体的には「セキュリティ対策の不備」「ITリソースの逼迫」「ネットワークトラフィックの増大」などです。こうしたITインフラに関する課題の多くは、企業がITに対する投資を最適化できていないことに起因します。また、ITインフラに起因する問題以外にも従業員同士が離れた場所で勤務することによるコミュニケーション不足なども無視できない問題です。

セキュリティ対策

テレワークにおいて、もっとも多く、そして影響の大きい課題はセキュリティ対策です。

テレワークでは、従業員の個人所有の端末から企業内のシステムへアクセスしたり、個人端末内にデータを保存するケースがあります。しかし、社内の情報システム部が管理できない個人端末にデータへのアクセスを許すと、情報流出やマルウェアの混入など、セキュリティ上の穴となってしまう可能性があります。

逆にこうした問題を防ぐため、厳しすぎるセキュリティポリシーを定めてしまうと、その結果として業務効率が著しく低下するケースもあります。さらに、こうした厳しすぎるポリシーは、抜け道としてシャドーITの発生を促すことがあります。シャドーITとは、情報システム部の目の届かない所で、従業員が勝手に業務に使用してしまっているデバイスやクラウドサービスのことです。情報システム部が把握できていないシャドーITの存在は、個人端末の利用と同じく、セキュリティ上の大きな脅威となる可能性があります。

データの共有

従来のオフィスワークでは、全員が一箇所に集まって業務を行っていたため、データの共有はオフィス内にファイルサーバーを設けるといったシンプルな方法で解決できていました。しかし、テレワークでは従業員がそれぞれ異なる場所で業務を行うため、従来の方法ではデータの共有がしづらくなります。

データの共有をオフィス内のファイルサーバーに依存している環境であれば、社外から社内へアクセスする手段を別途用意しなくてはなりません。しかし、外部からのアクセスを許可するということは、前述のセキュリティ上の問題はもちろん、全従業員がアクセスすることによってネットワーク帯域の逼迫を起こす可能性があります。

コミュニケーション

テレワークではITインフラのみならず、従業員同士のコミュニケーションも無視できない問題となります。

テレワークでは従業員同士が日常的に顔を合わせるということがなくなるため、慢性的にコミュニケーションが不足しがちとなります。業務連絡にはメールやチャットツールを利用することになりますが、これらのツールだけでは十分に情報が伝達できないことも考えらます。こうしたコミュニケーション不足/不全は精神的なストレスとなり、いわゆる「テレワーク疲れ」を引き起こす原因となることもあります。

ITおよび人的リソースの不足

テレワークを行うには、社内にVPNサーバーを構築したり、従業員のPCにVPNクライアントをインストールしたりなど、様々な事前準備が必要となります。IT企業に勤務するエンジニアであればともかく、一般的なユーザーがこうした準備をすべて自力で行うのは難しいでしょう。そのためテレワーク環境を構築し、実際に運用していくには、社内の情報システム部門のサポートが欠かせません。しかし、全従業員が一度にテレワークにシフトしようとすると、情報システム部門のリソースはあっという間にパンクしてしまうでしょう。

仮にテレワークをうまく開始できたとしても、全従業員がアクセスすることによって、今度は社内のITリソースが枯渇してしまうケースも考えられます。例えば、アクセスの集中によってファイルサーバーからのデータのコピーが遅い、リモートデスクトップサーバーの性能が足りずアプリが動かせないなどが考えられます。

クラウドでテレワーク環境を構築するメリットとは

テレワークを実施するには、セキュリティ面はもちろんデータ共有のしやすさやコミュニケーションの取りやすさといった、オフィスワークでは問題とならなかったテレワークならではの課題についても十分に考慮しなければなりません。こうした課題をクリアし、オフィスワークと同等の業務を行えるテレワーク環境を整えるためには、決して少くないITリソースへの投資が必要となるでしょう。しかし、インフラの確保、構築、運用・保守をすべて自社で行うのは、非常に大きな負担となります。また、「これから時間をかけてゆっくり準備する」ということも、もはや許されない状況となっています。

クラウドのメリットの1つが、導入しやすく、運用・保守のコスト軽減になることです。そこで、これからテレワーク環境を構築するのであれば、クラウドの利用を前提とすることで導入コストや運用コストを大きく削減できる可能性があります。

クラウドではセキュリティの責任分界点が定められており、インフラレイヤーの運用はクラウドベンダーに一任できます。OSやミドルウェア以上のレイヤーはユーザーの責任で運用することになりますが、オンプレミスと異なり運用担当者が一括で管理できるため、運用担当者の負荷を大きく減らすことができます。一括管理できるためセキュリティパッチの適用漏れなども起こりにくく、常に一定以上のセキュリティを確保しやすいというメリットもあります。

クラウドはインターネット越しに利用するのが前提のシステムのため、利用するユーザーの所在地を選びません。これは利用者が分散しているテレワークと非常に相性がよく、データ共有がしにくい問題も解決できます。しかし、どこからでも利用できるというのは利便性が高い一方、セキュリティレベルの低下を心配するかもしれません。そこで、FJcloud-V(旧ニフクラ)ではクラウド上のプライベートLANにリモートからセキュアに接続できる「リモートアクセスVPNゲートウェイ」を用意しています。リモートアクセスVPNゲートウェイを利用すれば、どこからでもアクセスできるという利便性とセキュリティを両立することができます。

クラウドは柔軟なリソースの増減が可能なため、利用者が増えたり、想定以上の負荷がかかった場合でも、オンデマンドにサーバーやネットワークを増強できるのが強みです。無駄な設備投資が必要なく、また料金も利用した分だけの従量課金のため、結果としてクラウドはインフラにかかるコストを最適化しやすくなっています。

結論として、これからテレワーク環境を整えるのであれば、無駄なコストや労力をかけずに環境構築ができるクラウドの利用を第一に検討することをお勧めします。

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