CLOUD NAVIクラウドとは?からクラウドを支える技術や関連用語まで解説

基礎知識

半導体不足がオンプレミスのシステム運用に与える影響

2022年01月25日

「クラウドファースト」という言葉があります。これは「ITシステムの構築を行う際には、オンプレミスよりもクラウドの利用を優先する」という考え方です。なぜクラウドの利用が推奨されるのかといえば、システムを構成するハードウェアを自社で所有するよりも、必要なリソースを状況に合わせてオンデマンドに借りる方が、費用や管理の手間、そして調達速度といった面において有利だからです。

そしてオンデマンドに仮想サーバーを調達する方法といえば、クラウドと並んで「VPS」が選択肢に挙がります。本記事ではVPSの概要や、クラウドとの違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

半導体とは

「半導体」とは、導体と絶縁体の中間に位置する電気的特性を持つ物質です。ただし、本記事で述べる「半導体」とは、この半導体を利用して作られたトランジスタや電子機器に組み込まれているチップ(マイクロチップとも)などの電子部品を指す総称です。

半導体は、スマートフォンやPCといったIT機器をはじめ、自動車から家電まであらゆる電子機器に搭載されています。現在の人々の生活や社会インフラを維持するため、半導体は無くてはならない存在と言えます。

半導体不足の要因と影響

2021年現在、新型コロナウイルスの影響によるテレワークの推進や巣ごもり需要の増大、サプライチェーンの混乱による原材料費の高騰、自動車市場の回復による需要の増加といった理由により、世界的な半導体不足が発生しています。半導体の不足による影響は、さまざまな業界において製品の生産ができず納期が遅れたり、価格が上昇したり、あるいは完全に生産が停止してしまったり、といった形で表れています。そして、その中でも特に大きな影響が出ているのが自動車業界だと言われています。

半導体が安定して供給できるようになるには、まだ数年はかかると見られています。

オンプレミスのシステム運用に与える影響

サーバーやディスクなどのハードウェアについても、半導体不足による供給の遅れや値上がりといった影響が懸念されています。これは、ハードウェアを自社で保有するオンプレミスでシステムを運用しているユーザーにとっては、決して無視できない問題でしょう。

例えば、供給の遅れによって予定していたリプレイス期限までにハードウェアの調達が間に合わない可能性があります。この場合、老朽化によって故障のリスクが高くなったり、サポートの終了でセキュリティに不安がある製品を使い続けなければならなくなったり、といった影響が出てくるでしょう。

また、新サービスのリリース直後やキャンペーンの開催中は、システムに通常よりも大きな負荷がかかることが予想されます。こうした場合は事前にリソースを増強し、増大するアクセスに備えるのが基本です。しかし、半導体が不足している現状では、こうしたリソースを増強したいタイミングでハードウェアの調達ができなくなる可能性も否定できません。

リソースが不足した状態で運用を行うと、Webサイトのレスポンスに多くの時間がかかったり、最悪システムがダウンしてしまうこともあるでしょう。また、仮に調達そのものはできたとしても、ハードウェアが値上がりする可能性もあります。言わずもがなですが、この場合は当初想定していた予算よりも高額な費用がインフラにかかってしまうでしょう。

クラウドの活用で半導体不足のリスクを回避

クラウドとは、クラウドベンダーが用意したサーバー・ストレージなどのコンピューティングリソースやアプリケーションソフトウェアをインターネットなどのネットワーク越しに利用する形態のサービス全般を指す言葉です。クラウドは、ユーザーの利用形態によって大きく、サーバーやストレージ、ネットワークといったインフラ全体を提供する「IaaS」、アプリケーションの開発/実行環境を提供する「PaaS」、アプリケーションの機能を提供する「SaaS」の3種類に分類されています。なお、こうしたクラウドの概要については、「IaaS、PaaS、SaaSの違いを整理して、クラウドサービスの特徴を知ろう」をご確認ください。

半導体不足におけるさまざまなリスクを回避するには、オンプレミスからクラウドへの移行が有効です。なぜならば、クラウドベンダーは大量のハードウェアを保有しており、高い集約率で仮想化して効率的にユーザーに提供しているためです。そのため、半導体不足が発生してもオンプレミスと比較すると、ただちに供給不足が発生するリスクは少ないと考えられます。また、クラウドならオンデマンドでサーバーをすぐに調達することができるため、クラウドベンダーの保有リソースに余裕がある限り、納期についても心配がありません。安定してリソースを供給することができるため、値上がりの可能性も低いと言えるでしょう。

クラウドのメリットやオンプレミスとの比較については、「クラウドとオンプレミス-それぞれのメリット・デメリットを徹底比較!」もあわせてご確認ください。

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