CLOUD NAVIクラウドとは?からクラウドを支える技術や関連用語まで解説

用語集

マイグレーションとは

2021年04月20日

「マイグレーション」とは、本来は住民の移住や渡り鳥の渡りを意味する英単語です。そこから転じて、大量のデータを別のプラットフォームへ移行したり、データベース内のデータを保持したままテーブルの構成を変更するような作業を「マイグレーション」と呼んでいます。

マイグレーションが必要となる主な理由の1つにシステムの移行作業があります。既存のシステムから新しいシステムへの移行時には、可能な限り現状を維持したままデータを移すことが要求されます。例えば、業務システムのリプレイスを行う際は、既存の顧客データを欠損することなく、そのまま移行できなければなりません。また、新システムでデータの内部構造が変化していたとしたら、新システムの仕様に合わせたデータの変換作業も必要となるでしょう。最近では、オンプレミスからクラウドへ環境を移行する機会も増えていますが、こうした移行時にもマイグレーションが必要となる場合があります。

リプレイス・エンハンス・アップデートとの違いとは

マイグレーションと似た言葉として、「リプレイス」「エンハンス」「アップデート」があります。

リプレイスとは、現在あるものを新しいものに置き換えることを指す言葉です。具体的な例を挙げると、保守契約の切れるハードウェアを新しいものに交換することは「ハードウェアのリプレイス」です。

エンハンスとは、現在あるものに機能追加や改良を行うことを指す言葉です。明確な定義があるわけではありませんが、一般的にはアップデートほど大きくはない、比較的小さな機能拡張を指して使われます。

アップデートとは、ハードウェアやソフトウェアをより新しいものに更新することを指す言葉です。ソフトウェアのバージョンアップやOSのセキュリティパッチの適用などが該当します。身近なアップデートの例には、Windowsを最新の状態に更新する「Windows Update」などがあります。

対してマイグレーションは、既存のシステムを置き換えたり(リプレイス)、機能の追加(エンハンス)や更新(アップデート)を行うことではなく、あくまで「新環境への移行」を指す言葉です。マイグレーションを行う必要があるからといって、必ずしもシステムのリプレイスを目的としているとは限りません。また、エンハンスやアップデートが同時に行われているとも限りません。もちろん同時に行われる場合もありますが、それぞれ独立している概念です。

データマイグレーションとは

ソフトウェアのバージョンが上がって新機能が追加される場合、それに伴ってデータの形式が変わったり、データベースにテーブルやカラムが追加されることが多いでしょう。このような場合は、新バージョンのソフトウェアに対応できるよう、データのマイグレーションが必要となります。

データマイグレーションは、一般的に以下の流れで作業を行います。

まず、マイグレーション前には、データのバックアップを取得してください。万が一、不測の事態が発生した際に確実に移行前の状態を復元できるよう、くれぐれもバックアップだけは欠かさないようにしましょう。次に新しいデータ形式へのデータ変換やデータベースのスキーマ拡張を行います。ここがデータやデータベースに変更を伴うデータマイグレーションにおけるメインの作業となります。データの変換や拡張が済んだら、マイグレーション先へ移動を行います。基本的には単なるデータコピーですが、データのサイズや移行先のプラットフォームによっては、コピー方法に工夫が必要になることがあります。最後に移動したデータをマイグレーション先で適用します。具体的には、特定のフォルダへのデータコピーやデータベースのリストアといった作業が発生します。

サーバーマイグレーションとは

サーバーをまるごとオンプレミスからクラウドへ、あるいは現在利用中のクラウド事業者から異なるクラウド事業者へ移行したいというのも、よくある要望の1つです。こうしたサーバーの移行を「サーバーマイグレーション」と呼びます。冒頭で述べたように、最近ではクラウドの利用の増加に伴って、オンプレミスからクラウドへのサーバーマイグレーションも増えています。

サーバーマイグレーションは、一般的に以下の流れで作業を行います。

データマイグレーションと同様にまず最初に行うのはバックアップです。マイグレーション後にサーバーが起動しないといったトラブルに備え、マイグレーション前の仮想サーバーイメージのスナップショットやバックアップを取得してください。次にマイグレーション先の環境にあわせて、サーバーイメージの変換を行ってください。クラウド事業者や仮想化プラットフォームごとにインポートできるサーバーイメージの形式は決まっています。例えば、FJcloud-VではVMWareで仮想化されたサーバーイメージをインポートできる「VMインポート」を提供していますが、インポートするサーバーの構成は、OVFファイルで提供されている必要があります。また、サーバーのディスクイメージは500GB以下であることなど、いくつかの制限があります。変換が完了したら、イメージデータをマイグレーション先へコピーしてください。マイグレーション先でサーバーの正常な動作が確認できたら、DNSレコード変更などの作業を行い、アクセスを新サーバーへ向ければマイグレーションは完了です。

無停止マイグレーションとは

クラウドではハードウェアを意識せずサーバーを動かせるため、あまり意識しませんが、クラウド上で動作する仮想サーバーも、実際にはクラウド事業者が持つハードウェア上で動作しています。そのため、例えばハードウェアの故障やメンテナンスなどの理由で、別のホストへ仮想サーバーを移行させなければならないことがあります。

通常であれば、仮想サーバーを一旦停止し、別のホスト上で再起動する事となり、メンテナンス調整が大変です。しかしながら、この際に仮想サーバーを停止させず、稼動状態のままホスト間を移行させられる機能を持つプラットフォームも存在します。このような仮想サーバーを稼働させたまま行うマイグレーションを「無停止マイグレーション」と呼びます。有名な無停止マイグレーション機能の例としては、「VMware vMotion」が挙げられます。

FJcloud-V(旧ニフクラ)では、既存のVMware環境からFJcloud-V(旧ニフクラ)へ無停止でサーバーを移行できる「Liveマイグレーション」を2021年3月より提供開始しました。この機能によって、オンプレミスからクラウドへのマイグレーションも、ダウンタイムなしで可能となっています。ミッションクリティカルなシステムをクラウドへマイグレーションする場合には、ぜひご検討ください。

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