FJcloud実践
RDBの「標準フラッシュドライブ」と「高速フラッシュドライブ」の性能を比較検証
この記事は、ニフクラブログで2022-09-15に公開された記事を移転したものです。 こんにちは、CRE部 技術支援チームです。
2022年8月に、FJcloud-V(旧ニフクラ)RDBに新しいディスクタイプ「標準フラッシュドライブ」「高速フラッシュドライブ」が追加されました。
今回は新しいディスクタイプを使うことで処理速度がどう変わるのかを確認するため、シングル構成・冗長構成(性能優先・データ優先)のそれぞれで性能検証を実施しました。
構成イメージ
前提条件
本記事は、以下の前提知識がある方を想定しています。
- FJcloud-V(旧ニフクラ)の基本的なコントロールパネルの操作、サービスを利用に関する知識
- Linuxの基本的な操作、設定に関する知識
- MySQLの基本的な操作、設定に関する知識
ベンチマークツールについて
ベンチマークを取得するにあたり、今回計測ツールとして「sysbench」を利用します。
sysbenchは、CPUやメモリ、ディスクI/Oなど、さまざまなシステム性能を測定することができるベンチマークツールです。 MySQLなどのデータベースのトランザクション処理の測定もできます。
計測環境
計測方法
west-13にクライアント(sysbench実行サーバー)、およびRDBを作成します。
クライアントからRDBにグローバル経由でアクセスし、ベンチマークツール「sysbench」を実行します。
ベンチマーク結果よりtransactionの性能を確認します。
計測条件
FJcloud-V(旧ニフクラ)RDB
項目 | 内容 |
---|---|
利用ゾーン | west-13 |
DBサーバータイプ(Type-h) | db.wlarge32 、db.medium8、db.small4 |
RDB構成 | シングル構成、冗長化構成(性能優先)、冗長化構成(データ優先) |
ディスクタイプ | 標準フラッシュドライブ、高速フラッシュドライブ、高速ディスク |
ディスクサイズ | それぞれ50GB |
sysbench実行サーバー
項目 | 内容 |
---|---|
利用ゾーン | west-13 |
サーバータイプ | h2-wlarge16 |
性能計測ツール | sysbench(ver 1.0.20) |
lua script | oltp_read_write.lua (read・write両方)、oltp_write_only.lua (writeのみ) |
table-size | 40000000 |
db-ps-mode | disable |
実施方法
下記条件で実行します。
任意の3日間の3時台・9時台・15時台・21時台でそれぞれ3回sysbenchを実行し、取得したベンチマーク結果よりtransactionの平均を求める。
sysbenchの実行時のオプションは下記の通り。
read・write 両方
sysbench /usr/share/sysbench/oltp_read_write.lua --mysql-db=DB名 --db-driver=mysql --table-size=40000000 --mysql-host=RDBのフローティングIP --mysql-user=DBユーザ --mysql-password=DBパスワード --time=180 --threads=256 --db-ps-mode=disable run
writeのみ
sysbench /usr/share/sysbench/oltp_write_only.lua --mysql-db=DB名 --db-driver=mysql --table-size=40000000 --mysql-host=RDBのフローティングIP --mysql-user=DBユーザ --mysql-password=DBパスワード --time=180 --threads=256 --db-ps-mode=disable run
計測結果
性能を比較しやすくするため、取得したデータの平均の値でグラフにしています。
グラフの縦軸はsysbenchのtransactionの値です。
read・write 両方
シングル構成
冗長構成(データ優先)
冗長構成(性能優先)
- 3つの構成でベンチマークを実施したが、各構成で傾向はあまり変わらなかった。
- 高速ディスクと高速フラッシュドライブに大きな性能差はみられなかった。
- 標準フラッシュドライブはサーバータイプがdb.small4,db.medium8のときには他ディスクタイプと大きな性能差が無かったが、wlarge32のときは65~68%程度の性能となっている。
writeのみ
シングル構成
- 構成の違いによる処理性能の傾向があまり変わらなかったため、こちらはシングル構成のみで計測を実施した。
- writeのみの条件でも高速ディスクと高速フラッシュドライブに大きな性能差はみられなかった。
- 標準フラッシュドライブについては全てのサーバータイプで他のディスクタイプとの性能差が出ており、small4で69~71%、medium8で66~69%、wlarge32で34~36%程度の性能となっている。
まとめ
今回の結果で高速フラッシュドライブは高速ディスクとほぼ同様のパフォーマンスが出ていることが確認できました。
一方の標準フラッシュドライブは他のディスクタイプと比較して、特に高スペックのサーバータイプ利用時の処理性能に大きな差が出ることが確認できました。
高い処理性能が必要な場合や冗長構成にする必要があるときは高速フラッシュドライブ、あまり処理性能が必要ではなくデータの読み込みが中心の場合は標準フラッシュドライブと用途に応じて利用するディスクタイプを選択していただければと思います。
注意事項
- 本記事で標準フラッシュドライブでの冗長化構成(性能優先、データ優先)のベンチマークも取得していますが、標準フラッシュドライブはデータ同期速度の観点からシングル構成でのご利用を推奨します。
- ベンチマーク結果は参考値であり、お客様のアプリケーションの動作を保証するものではございません。
- FJcloud-V(旧ニフクラ)では、CPU型番などの情報を公開していません。計測したゾーンやサーバーよって、結果は異なる場合があります。
- 本計測は、あくまで筆者の環境を使った計測時点での値であり、計測環境・計測時間によって異なる場合あります。参考程度に留めてください。
- 本記事のFJcloud-V(旧ニフクラ)外サイトへのリンクにつきまして、リンク切れの際はご容赦ください。
- 本記事で記載した各サービス/FJcloud-V(旧ニフクラ)の機能等は、2022年8月時点の情報です。ご利用の際は、各サービス/FJcloud-V(旧ニフクラ)の機能の最新情報をご確認ください。