基礎知識
相性抜群!サブスクリプションとクラウドの関係とは
ITを利用して業務を行う企業では、さまざまなシステムやツールが利用されています。オフィスから離れて働くテレワークでは、こうしたシステムやツールをオフィスの外からも利用できる必要があります。
本記事では、テレワークで利用できるツールにはどのようなものがあり、どのような特長があるのかを、ジャンルごとに紹介します。
サブスクリプションとは
英語で「subscription」とは、新聞や雑誌の定期購読やケーブルテレビの加入権などを意味する単語です。そこから製品をそのものを売るのではなく、「料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができる権利」を売るサービス方式をサブスクリプションと呼んでいます。また、製品を売り切るのではなく、サブスクリプションを利用して継続的に利用料を回収するビジネスモデルは、サブスクリプションモデルと呼ばれます。
サブスクリプションはその特性上、料金を支払っても製品そのものを所有することはできず、また利用し続ける限り利用料がかかり続けます。そのため、従来の「お金を払って物を買うこと」が当たり前の消費者感覚からすると、抵抗感を感じる人も少なくありませんでした。
そのような中、サブスクリプション方式のビジネスが一般に広く認知・利用されるようになったのは、動画配信サービスの「Netflix」や音楽ストリーミングサービスの「Spotify」の登場とその成功によるところが大きいでしょう。従来であれば、自宅で映画を見るためにはDVDを購入するのが一般的でした。DVDは一度購入さえしてしまえば、あとは無料でいつでも自分の自由に視聴することができます。しかし、異なるタイトルを視聴したい場合は、また別のDVDを購入しなければなりません。対して、Netflixは月額利用料さえ支払えば、配信されているすべてのタイトルが見放題となります。物理的なメディアを所有することこそできないものの、定額の利用料で無数のタイトルが視聴できるサービスの充実度やいつでも利用を停止できる気軽さから、Netflixは大成功を収めています。
サブスクリプション方式が採用されているのは、Netflixのような配信サービスだけはありません。従来、PC向けのソフトウェアはパッケージを買い切る方式が一般的でしたが、最近ではサブスクリプションで提供されるものも増えつつあります。サービスのサブスクリプション化が進んでいる一要因としてはDXの推進によって、さまざまな業種でビジネスモデルの変革を迫られていることが挙げられるでしょう。サブスクリプション方式で提供されているソフトウェアの具体的な例としては、Microsoft 365やAdobe Creative Cloudなどがあります。
IT業界だけに留まらず、カーシェアサービスや英会話教室といった分野でも、サブスクリプション方式のサービスが拡大しています。世の中のさまざまな分野のサービスで「モノの所有」から「サービスの利用」への変革が進んでいると言えるでしょう。
サブスクリプションのメリット、デメリット
サブスクリプション方式のサービスには、サービス提供者、利用者それぞれにメリットとデメリットが存在します。
サービス提供側には
- 継続的に収益を上げられる
顧客の細かな利用状況を把握できる - 新規導入のハードルが低いため、利用者を増やしやすい
- テキストテキストテキストテキストテキスト
といったメリットがある反面、デメリットとしては
- 利用を継続してもらうためには、常に新しいコンテンツやサービスを提供し続ける必要がある
- 長期利用してもらうことで、はじめて利益が出るモデルの場合は解約率が高いと利益を回収しにくくなる
- 製品を売り切る場合に比べて、カスタマーサポート部門の負担が大きくなる傾向がある
などがあります。
一方、利用者側には以下のメリットがあります。
- 製品を購入しないため、利用開始時の初期費用を抑えられる
- 必要なくなった時にいつでも解約できる
製品を所有せずに利用できるので、資産の管理コストが減る - 低コストでサービスを気軽に試せるため、新しい商品やサービスに出会いやすくなる
また利用者側のデメリットとしては
- 同一のプランであっても、提供側の都合で急に値上げされるリスクがある
- サービスを一切使わなかった場合でも、契約中はコストが発生する
- 長期間使う場合は製品を買い切るよりも、トータルコストが高くなる傾向にある
- 利用料がかかり続けることに対する心理的な抵抗感
などがあります。
サブスクリプションに向いているサービスとは
サブスクリプション方式の強みは「モノを所有する必要なしにサービスを一定期間利用できる」ところです。利用者はモノを所有するコストや煩わしさから開放され、低コストで気軽にサービスの恩恵を受けることができるというわけです。そのため、サブスクリプション方式は、モノの購入や維持に大きなコストがかかる分野や恒久的ではなく一時的に利用したいサービスと相性がよい方式です。
サブスクリプションに向いている具体的なサービスとしては、前述のように
- カーシェアサービス(車を購入する費用や維持する税金や車検などが不要で使いたい時に車を使える)
- 動画配信サービス(DVDを作品ごとに購入するよりも定額で多くの作品を見られる方が便利)
- ソフトウェア提供サービス(パッケージを定期的に買い替えるよりも最新版を使いたい時だけ使う方がコストパフォーマンスがよい)
などがあります。
サブスクリプションで利用するクラウドサービス
前述のようにサブスクリプションは、
- 気軽に導入しやすい
- コストの平準化/最適化がしやすい
- 短期間でも利用しやすい
- モノ(資産)を所有する必要がない
というメリットを持っていますが、これは
- ハードウェアを自前で確保しなくてよい(サービスだけ利用できる)
- 需要に応じて動的にスケールアウト/スケールアップが可能
- 一時的な利用にも適している
という特長を持つクラウドと非常に相性がよい課金方式です。そのため、FJcloud-Vをはじめとした多くのクラウドベンダーでは、サブスクリプション方式の課金形態を採用しています。
クラウドは従量制の課金で小額から利用を開始できるため、最初にハードウェアを購入しなければならないオンプレミスよりも初期コストを抑えられます。また、負荷に応じて一時的にシステムをスケールアップ/スケールアウトすることも容易です。さらに、インフラ部分の運用をクラウドベンダーに任せられるため、利用者はサービスの開発に集中できるというメリットも存在します。
このようなクラウドのメリットは「クラウドサービスを導入するメリットとは」の記事で解説していますので、あわせてご確認ください。